現在、ヘックランド国内は建国以来の大惨事を迎えている。その原因となったのは、かの異界都市「クトゥラ」。昨年末の出現以来、わが国を苦しめてきた古代の負の遺産である。そのクトゥラであるが、先月初頭に忽然とその巨大な姿を跡形もなく消し去った。その現象について、クリスタンシェ・ファルミュロイ代表が設立した「クトゥラ調査会」の調べによれば、蛮族の地「聖地ロホロホ」にある古代遺跡において蛮族の巫女を生贄とする「封印」により、異次元へと放逐されたとの事である。
しかし、今回の大災害の引き金となったその再出現は、クトゥラ内部に置き去りにされた「クトゥラ巡礼団」、及びそれに随行する戦闘集団「人狼」の決断によって異次元から帰還したその余波によるものということが、同じくファルミュロイ代表によって大公妃にもたらされた聖地ロホロホからの報告書によって判明した。それによれば、聖地ロホロホの遺跡、通称「神装置」は、異次元からの干渉、また「次元震」からセディメンティアを守る為の存在であったらしい。
その「次元震」なる言葉は、2ヶ月前の7月に聖地ロホロホにて既に明かされていたが、その後情報自体の研究がされていなかったため、その言葉が意味するものは今日に至るまで判明していなかった。
また、昨年末に現れたクトゥラは半ば幻影というべき、一方通行の不完全に次元が繋がった状態でセディメンティアに出現。その後、およそ半年の時間を経て完全実体化し、巡礼団の侵入を可能にした。その出現の際に「次元震」なるものが発生しなかったのは、そのためと思われる。しかし、今回の再出現はそうした段階的な出現ではなく、急速な次元転移による結果。それによって発生した「次元震」は、鉄笛城、ラスティーユ、トライ・アイダ、バルドー、そして王都レアンを一瞬にして襲い、各都市に致命的な数の死者をもたらした。伝え聞く情報によれば、各都市での人命損失は万人単位に上り、統計を取る事すら困難だと言う。しかし、「クトゥラ調査会」の報告が正しければ、この被害も「神装置」の防御が働いての結果ということになるのだろう。本来の「次元震」の被害がどんなものであるのかは計り知れない。
そして、この災害により国王ロアール3世、及びミレイユ大公妃が崩御したと伝えられている。その他の、ヘックランド北西部を領地とする貴族領主も壊滅的な損害を受けた。なお「次元震」の被害は、フォートローダーやフームーン、またヘックランド南部の都市には及んではいない模様。
様々な国際問題、また国内問題を抱えていた我が国であるが、冒険者達の一つの決断がもたらしたこの大災害により、何よりもまず王国自体の存亡が危地に立たされたと言っていいだろう。また今後、数十万の人命を犠牲に帰還した「クトゥラ巡礼団」及び「人狼」には、ヘックランド国民の非難が集中せざるを得ないと思われる。

ジャンル:冒険

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